
『チップス ハゲタカ6』真山仁 台湾半導体の世界一はいつまで続くのか (Books)
出典: 日経ビジネス (原典を開く)
ニュース概要
【『チップス』真山仁 台湾半導体の世界一はいつまで続くのか】 本書を通じて、ものづくり大国・日本という幻想に気づいてほしいという思いもあります。「ものづくり日本」を復活させるために国が投資を加速していますが、この方針には正直疑問です。
解説
半導体、と聞くと「なんだか難しそう」と感じる方もいるかもしれませんね。でも、実は私たちのスマホやパソコン、車、家電製品、ありとあらゆるものに入っている、とっても大切な部品なんです。この半導体を作る技術で、今、世界で圧倒的な存在感を示しているのが台湾です。特に台湾積体電路製造(TSMC)という会社は、最先端の半導体を大量に、しかも高い品質で作る技術を持っていて、世界のIT産業を支えています。
しかし、作家の真山仁さんが著書『チップス』で投げかけるのは、「この台湾の優位性はいつまで続くのか?」という問い。そして、日本がかつて「ものづくり大国」と呼ばれた時代の幻想から目を覚ますべきだと訴えています。日本政府は、半導体産業を再び盛り上げようと、国内外の企業に多額の投資を行っています。例えば、熊本にTSMCの工場を誘致したり、国内企業への補助金を増やしたりしています。これだけ聞くと、「おお、日本も頑張るんだな!」と思うかもしれません。
でも、真山さんは、この方針に疑問を呈しているんですね。なぜかというと、かつての「ものづくり日本」は、確かに世界をリードする技術力を持っていました。しかし、その後の時代の変化に対応しきれなかった部分もあります。例えば、半導体製造装置や材料の分野では今も強いですが、実際に半導体そのものを作る「ファウンドリ」と呼ばれる分野では、台湾や韓国に大きく水をあけられています。日本がかつて得意だったのは、自社で設計から製造まで一貫して行う「垂直統合型」モデルでした。しかし、現代では、設計は設計専門の会社、製造は製造専門の会社(ファウンドリ)というように、役割分担が進んでいます。
日本が今、巨額の投資をして再び半導体製造に力を入れようとしているのは、一見すると素晴らしいことのように思えます。しかし、真山さんの指摘は、「過去の成功体験にとらわれて、本当に今、日本が力を入れるべき分野を見誤っていないか?」ということ。世界はものすごいスピードで変化しています。半導体産業も例外ではありません。日本が本当に競争力を取り戻すためには、単に工場を誘致したり、補助金を出したりするだけでなく、世界全体のサプライチェーン(供給網)の中で、日本がどんな役割を担うべきなのか、もっと深く、現実的に考える必要があるのかもしれませんね。過去の栄光に浸るのではなく、未来を見据えた戦略が求められている、というメッセージが込められているように感じます。
関連データ
今後の予測
今後の半導体業界の動向は、いくつかのシナリオが考えられます。
一つ目のシナリオは、「台湾の優位性継続」です。TSMCは圧倒的な技術力と生産能力を持ち、次世代技術への投資も怠っていません。地政学的なリスクはあるものの、その技術的リードは容易には覆せず、しばらくの間は世界の半導体供給の中心であり続けるでしょう。日本や欧米諸国が自国での生産を強化しても、最先端分野での台湾への依存は続く可能性が高いです。
二つ目のシナリオは、「各国での生産体制強化とサプライチェーンの分散」です。米中対立の激化や新型コロナウイルスによる供給網の混乱を経験し、各国は半導体の安定供給を重視するようになりました。日本だけでなく、アメリカやEUも自国への工場誘致や投資を加速させています。これにより、特定の地域に集中していた生産が分散され、より強靭なサプライチェーンが構築される可能性があります。ただし、その分、コスト増につながることも考えられます。
三つ目のシナリオは、「日本の特定分野での存在感向上」です。日本が過去の「ものづくり大国」の幻想から脱却し、半導体製造装置や材料、あるいは特定の高性能半導体(例えば自動車向けなど)といった得意分野に集中投資することで、ニッチながらも世界で不可欠な存在としての地位を確立する可能性があります。全ての分野で台湾と競争するのではなく、日本の強みを活かした戦略が成功の鍵となるでしょう。
ニュースタイムライン
2026年6月9日
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2026年6月9日
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参考引用
“「ものづくり日本」を復活させるために国が投資を加速していますが、この方針には正直疑問です。
― 日経ビジネス
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