
え、なんで儲かるのに売るの?「スタバの日本事業売却」も「東芝のキオクシア売却」も“正解”と言えるワケ - 今週もナナメに考えた 鈴木貴博
ニュース概要
絶好調なスタバの「日本事業売却」報道に、「なぜ儲かるのに手放すの?」と疑問を抱きませんか?かつて東芝が稼ぎ頭の「キオクシア」を売却したのも同じ構図です。不振の本業を切り離し、成長事業を残すほうが理にかなっているはずなのに、なぜ大企業はあえて「稼ぎ頭の売却」を選ぶのでしょうか?優良事業を手放すことが「正解」となる、リアルな経営判断のプロセスを解説します。
解説
「え、なんで儲かってるのに手放すの?」
もしあなたが、今まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのスターバックス(スタバ)の日本事業が、かつて売却される可能性があったと聞いたら、そう思うかもしれません。順調な事業を売却するなんて、一見するとおかしな話ですよね。でも、実はこれ、大企業が成長戦略を考える上で、非常に合理的な判断である場合が多いんです。かつて東芝が、稼ぎ頭だった半導体メモリ事業のキオクシア(旧東芝メモリ)を売却したのも、同じような理由からです。
一体なぜ、企業は儲かっている事業を手放すのでしょうか?
その背景には、「事業の選択と集中」という経営戦略があります。会社全体で見たときに、限りある経営資源(お金、人材、時間など)をどこに振り分けるか、という問題です。例えば、A事業がすごく儲かっていても、B事業がもっと将来性があり、大きく成長する可能性を秘めているとします。しかし、B事業を本格的に育てるには、A事業で得ている利益だけでは足りない、あるいはA事業に多くの資源が割かれていてB事業に十分な投資ができない、という状況が起こりえます。
この時、A事業を売却することで、一時的に大きなお金を得ることができます。このお金を、将来の柱としたいB事業に集中して投資することで、会社全体の成長を加速させよう、というのが「稼ぎ頭の売却」の主な狙いです。つまり、目先の利益よりも、数年後、数十年後の会社の姿を見据えた、未来への投資なんです。
特に、企業が大きな転換期を迎えている場合や、新しい技術革新の波が押し寄せている業界では、この判断が重要になります。例えば、デジタル化が進む中で、紙媒体の出版事業が好調でも、将来性を見込んでAIやIT関連事業に軸足を移すために、出版事業を売却する、といったケースも考えられます。
また、売却される側の事業にとっても、メリットがないわけではありません。親会社の方針に縛られず、新たなオーナーのもとで、より自由な経営判断や大胆な投資が可能になり、事業そのものがさらに成長するチャンスを得られることもあります。スタバの日本事業の場合、親会社の元を離れることで、日本市場に特化した柔軟な戦略を打ち出しやすくなる可能性も考えられます。
このように、一見すると「もったいない」と感じる優良事業の売却も、会社の未来をかけた深い戦略に基づいていることが多いのです。目先の利益だけでなく、その裏にある企業の成長戦略や、将来のビジョンに目を向けることで、ニュースの理解はぐっと深まります。
関連データ
今後の予測
今後の企業経営においては、伝統的な事業領域に固執せず、常にポートフォリオの見直しと最適化が求められるでしょう。
**シナリオ1:事業再編の加速** グローバル経済の不確実性が高まる中、企業はより迅速な経営判断を迫られます。そのため、儲かっていても将来的な成長が見込みにくい事業や、自社のコアコンピタンス(中核となる強み)から外れる事業は、積極的に売却される傾向が強まる可能性があります。これにより、M&A市場はさらに活発化し、業界の垣根を越えた再編が進むかもしれません。
**シナリオ2:新規事業への大胆な投資** 売却で得た資金は、AI、再生可能エネルギー、バイオテクノロジーといった成長分野への大規模な投資に充てられることが増えるでしょう。これにより、既存の事業構造に囚われない、全く新しいビジネスモデルやサービスの創出が加速し、経済全体の新陳代謝が促進される可能性があります。
**シナリオ3:従業員のキャリアパス多様化** 事業売却は、売却される側の事業で働く従業員にとって、新たな環境でのキャリア形成の機会となります。新しいオーナーのもとで、これまでとは異なる企業文化や戦略に触れることで、個人のスキルアップや専門性の深化につながる可能性があります。企業は、事業売却に伴う従業員のケアや、新たなキャリア支援の重要性が増すでしょう。
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参考引用
“なぜ儲かるのに売るの?
― ダイヤモンド・オンライン
“優良事業を手放すことが「正解」となる
― ダイヤモンド・オンライン
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