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山形マット死、元生徒3人に賠償命令 時効防ぐため3回目の提訴
出典: 毎日新聞 (原典を開く)
ニュース概要(出典記事の要点)
山形県新庄市立旧明倫中学校で1993年、体育用マットの中で1年の児玉有平さん(当時13歳)が死亡した事件を巡り、民事訴訟で確定した賠償金計約5760万円の支払いに応じていない当時の生徒3人に遺族が同額の損害賠償を求めた訴訟で、山形地裁は15日、全額の賠償を命じた。今回の訴訟は3回…
※ 上記は出典記事の要約です。本サイト独自の分析・背景解説は下記をご覧ください。
解説
1993年に山形県の中学校で起きたマット死事件。あれから30年以上たった今、なぜ遺族は同じ内容の訴訟を何度も起こし続けているのか。その背景には、日本の法制度の大きな矛盾が隠れています。
この事件は当時、全国に衝撃を与えました。13歳の男子生徒が体育用マットの中で亡くなるという、いまだに真相の詳細が謎のままの事件です。裁判を通じて、当時の同級生たちが何らかの形で関わっていたことが認められ、民事賠償の判決が確定しました。ところが、その判決金を支払わない被告側に対して、遺族は通常の手段では対抗できません。なぜなら、民事事件には「時効」という制度があるからです。
民事事件の通常の請求権は、5年(一部の債権は3年)で時効となり、その後は法的に請求ができなくなります。つまり、30年前の事件で確定した賠償金であっても、被告が支払わないまま時効の日が来てしまえば、いくら裁判所が「払え」と命じていても、法律上は請求できなくなってしまうのです。これは多くの人にとって不公平に感じられるはずです。
遺族がとった戦略が「時効を止める」ことです。民事事件では、訴訟を起こすことで時効をリセットできる仕組みがあります。ですから、遺族は同じ内容で何度も訴訟を起こし、その都度時効をリセットしているわけです。今回が3回目というのは、そだけ長い間、支払いを受けられない状態が続いているという意味になります。
このニュースが投げかける問いは深いものです。法律は「時効」によって古い債務を消す仕組みを持っています。これは、いつまでも昔のことを引きずらず、社会が前に進むためという理屈です。しかし、犯罪の被害者やその遺族にとっては、加害者が支払いを拒み続ける限り、その傷は癒えません。時効という制度が被害者を守るのではなく、支払いを逃げ切る側を保護してしまっているのではないか、という批判が出るのは当然です。
実際、この事件が知られるようになってから、「被害者に有利な時効制度」を求める声が高まり、法律も少しずつ変わってきました。ただし、遡って適用されることはありません。つまり、過去の事件の被害者たちは、今も不利な古い制度のもとで戦い続けているのです。
今回、山形地裁が遺族の訴えを認め、再び賠償を命じたことは、法律家としても「被害者側にこれ以上の負担を強いるべきでない」というメッセージかもしれません。ただし、判決が出ても支払われなければ、また時効をめぐる戦いが続く可能性があります。
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参考引用
“時効防ぐため3回目の提訴
― 毎日新聞
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