
原油高だけじゃない!中東情勢が悪化するほど〈有事の円売り〉が強まる要因が新たに浮上…赤字急拡大中の経常収支項目 | 政治・経済・投資 | 東洋経済オンライン
ニュース概要(出典記事の要点)
2022年以降、日本の経常収支に新たな赤字拡大の要因が登場しました。再保険取引などによる第2次所得収支赤字の急増です。グローバル化や地政学リスク、自然災害の激甚化が絡み、保険料流出が円安を促進する構…
※ 上記は出典記事の要約です。本サイト独自の分析・背景解説は下記をご覧ください。
解説
最近のニュースで「円安」という言葉をよく耳にするかと思いますが、その原因は原油高や日米の金利差だけではない、新しい要因が浮上しているのをご存じでしょうか。それが「再保険取引」に絡むお金の流れ、具体的には「第2次所得収支」の赤字拡大です。
「再保険」と聞くと、少し難しく感じるかもしれませんね。これは、保険会社が引き受けた大きなリスクを、さらに別の保険会社(多くは海外の巨大な再保険会社)に分散してもらう仕組みのことです。例えば、日本で大きな地震が起きたとき、国内の保険会社だけではとても対応しきれないほどの保険金を支払うことになります。そこで、あらかじめ海外の再保険会社にリスクの一部を肩代わりしてもらう契約を結んでおくのです。そうすることで、国内の保険会社は破綻せずに済むし、私たち契約者も安心して保険金を受け取れるわけですね。
ところが、この再保険の仕組みが、今の円安をさらに加速させる一因になっているというのです。なぜかというと、日本が抱えるリスクが大きくなればなるほど、海外の再保険会社に支払う保険料(再保険料)が増えていきます。日本は、地震や台風、津波といった自然災害が多い国です。近年は地球温暖化の影響もあり、これらの災害がより大規模化・頻繁化していると感じる方も多いのではないでしょうか。さらに、世界全体で地政学的なリスク、つまり国と国の関係が悪化するような動きも増えています。
こうした状況を受けて、海外の再保険会社は、日本から引き受けるリスクに対してより高い保険料を求めるようになります。結果として、日本から海外への再保険料の支払いがどんどん増えていくわけです。この支払いは、多くの場合、ドル建てで行われるため、日本円を売ってドルを買う動きが増え、それが円安につながってしまうのです。
これまでは、日本は海外への投資などから得られる利子や配当金(第1次所得収支)が大きく、全体として「経常収支」は黒字を保ってきました。しかし、この再保険料の流出が増えることで、日本全体のお金の出入りを示す経常収支の黒字幅が縮小し、場合によっては赤字に転落するリスクも出てきています。そうなると、日本の経済の体力そのものが弱まっていると見なされ、さらに円が売られやすくなるという悪循環に陥る可能性も指摘されているのです。
私たちの生活に直接関わる保険の仕組みが、巡り巡って円安に影響を与えている。グローバル化が進んだ現代において、経済のつながりは本当に複雑になっていると改めて感じさせられますね。
関連データ
今後の予測
この再保険取引に起因する円安圧力は、今後も日本の経済に影響を与え続ける可能性があります。いくつかのシナリオが考えられます。
まず、最も懸念されるのは「悪循環の継続」です。自然災害の激甚化や地政学リスクの増大が止まらない限り、海外への再保険料支払いは増加し続け、日本の経常収支を圧迫します。これにより、市場における円の信頼度が低下し、さらなる円安を招く可能性があります。これは輸入物価の上昇を加速させ、私たちの生活を圧迫することになるでしょう。
次に考えられるのは「政策的対応による緩和」です。政府や日本銀行が、この再保険問題に特化した対策を講じる可能性もゼロではありません。例えば、国内の保険会社のリスク対応能力を高めるための制度設計や、海外の再保険会社との交渉力の強化などが考えられます。しかし、これは短期的な効果は期待しにくく、長期的な視点での取り組みが必要となります。
最後に「経済構造の変化による影響の相殺」も考えられます。例えば、日本が再生可能エネルギーへの転換を加速させ、エネルギー輸入への依存度を下げることができれば、原油高による貿易赤字が縮小し、再保険による赤字を相殺する効果が期待できます。また、新たな高付加価値産業が育ち、海外からの所得が増えれば、経常収支全体の改善につながる可能性もあります。しかし、これも時間を要する変化であり、即効性のある解決策とはならないでしょう。
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参考引用
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