
Epic GamesがGitの死角を突く。バージョン管理「Lore」公開
ニュース概要
※ ◎=ネイティブ対応 △=制限付き対応 ×=非対応。LoreはUEFN(Unreal Editor for Fortnite)内蔵VCSとして運用実績あり。pre-1.0 Gitの設計に正面から答える設計意図はわかりやすい。GitとPerforceの長所を選び取り、短所を避ける。
解説
ゲーム業界の巨人、Epic Gamesがまたしても注目すべき動きを見せました。彼らが新たに「Lore(ロア)」というバージョン管理システムを公開したのです。バージョン管理システムと聞くと、ちょっと難しそうに感じるかもしれませんが、簡単に言えば、プログラムのソースコードやゲームの素材など、たくさんの人が協力して一つのものを作る際に、「いつ、誰が、どこを、どう変更したか」を記録し、管理する仕組みのことです。
これまで、この分野では「Git(ギット)」や「Perforce(パーフォース)」といったシステムが主流でした。Gitは、オープンソースで多くの開発者に愛用され、柔軟な使い方ができるのが特徴です。一方、Perforceは大規模なゲーム開発などで使われることが多く、特に巨大なファイル(例えば、ゲームの背景データやキャラクターの3Dモデルなど)の扱いに長けています。
Epic Gamesは、自社製のゲームエンジン「Unreal Engine(アンリアルエンジン)」や、人気ゲーム「フォートナイト」の開発で培った経験から、既存のシステムには「かゆいところに手が届かない」部分があると感じていたのかもしれません。特に、現代のゲーム開発では、プログラムのコードだけでなく、テクスチャ、3Dモデル、アニメーションデータなど、膨大な量のバイナリファイル(人間が直接読めないデータ)を扱います。Gitはコードの変更管理には強いのですが、巨大なバイナリファイルの管理は苦手とされていました。また、Perforceは得意な反面、導入や運用にコストがかかるという側面もあります。
そこで登場したのが「Lore」です。Epic Gamesは、このLoreを「UEFN(Unreal Editor for Fortnite)」という、フォートナイト内でゲームを作るツールに組み込んで運用し、その有効性を確認してきたそうです。彼らは、Gitの「分散型」という強み(インターネットに繋がっていなくても作業できるなど)と、Perforceの「大規模ファイル管理」という強みを良いとこ取りし、それぞれの弱点を補うようなシステムを目指したようです。特に、Gitが初期の頃に想定していなかったような、現代の巨大なアセット(素材)を扱うニーズに正面から応えようとしている点が注目されます。
この動きは、単に新しいツールが出たというだけでなく、ゲーム開発の現場が抱える課題を浮き彫りにしています。ゲームはますます大規模化・高精細化しており、それに伴って扱うデータも巨大化しています。開発チームの規模も大きくなる中で、いかに効率的に、そして間違いなく開発を進めるか。その答えの一つとして、Epic GamesはLoreを提案したのでしょう。これは、ソフトウェア開発全般、特に巨大なデータを扱う分野に大きな影響を与える可能性を秘めています。
関連データ
今後の予測
Epic Gamesが「Lore」を公開したことで、今後のバージョン管理システムの世界にはいくつかのシナリオが考えられます。
まず、最も可能性が高いのは、ゲーム開発業界においてLoreが新たな選択肢として普及していくことです。特にUnreal Engineを利用している開発者にとっては、Epic Gamesが自社で開発・運用実績のあるツールであるため、導入障壁が低いと考えられます。大規模なゲーム開発スタジオがPerforceからLoreへの移行を検討したり、Gitのバイナリ管理の課題に悩んでいた中小規模のスタジオがLoreを採用したりするかもしれません。
次に、既存のGitやPerforceといったシステムが、Loreの登場によって進化を加速させる可能性もあります。Loreが提示した「Gitの弱点を突く」という設計思想は、既存のシステム開発者にとって、自社の課題を見直すきっかけとなるでしょう。特にGitのLFS(Large File Storage)のような大規模ファイル対応機能が、さらに強化される動きが出てくるかもしれません。
一方で、Loreが特定用途、つまりUnreal Engineやフォートナイト関連の開発に特化したニッチなツールとして留まる可能性もゼロではありません。既存のシステムには長年の蓄積と巨大なコミュニティがあり、容易に乗り換えが進まないケースも考えられます。しかし、Epic Gamesがオープンソースとして公開することで、コミュニティの力を借りて汎用性を高めていくことも期待できます。最終的には、開発者が何を重視するかによって、複数のバージョン管理システムが共存する状況が続くでしょう。
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参考引用
“GitとPerforceの長所を選び取り、短所を避ける。
― はてなブックマーク IT
“pre-1.0 Gitの設計に正面から答える設計意図はわかりやすい。
― はてなブックマーク IT
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