
3.8兆円のイラン凍結資産 米、周辺国の再建への転用を検討か
出典: 毎日新聞 (原典を開く)
ニュース概要
米国とイランの戦闘終結に向けた「覚書」を巡る交渉で、イランの凍結資産240億ドル(約3兆8000億円)に関する対応が焦点となっている。イラン側は合意には凍結解除が必要だとの立場だが、トランプ米大統領にとって受け入れるのは容易ではない。
解説
中東の政治地図が大きく揺らいでいます。米国とイランの間で戦闘終結に向けた話し合いが進む中、意外な「お金の問題」が交渉を複雑にしています。それが約3兆8000億円というイランの凍結資産です。
そもそもこのお金は何か。イランは1979年の革命後、米国と対立が深まり、経済制裁を受けてきました。その過程で、世界中の銀行に預けていたイランの資産が凍結されたのです。長年、イランはこの資金にアクセスできず、自国の経済復興に使うことができませんでした。
いま米国がこの凍結資産の一部を「周辺国の再建」に使おうと検討しているというのは、単なる金銭の移動ではありません。これは中東地域全体の勢力図を再編する戦略の一部と考えられます。イスラエルとの対立の影響で経済的な打撃を受けた周辺国、あるいは米国の同盟国への支援に充てる可能性があるからです。
イラン側の立場も理解しやすいでしょう。戦闘を終わらせるなら、自分たちの凍結資産は全額返してほしい——これは当然の要求に見えます。しかし米国、特にトランプ大統領の立場からすれば、イランに巨額の資金を渡すことは国内政治で非難される危険があります。
ここに浮かぶのは、大国と中小国の非対称な交渉構図です。イランにとって必要な資金も、米国の地域戦略では「カード」として機能しているわけです。かつてのイラン・イラク戦争やシリア内戦など、この地域の紛争では常に大国の利害が絡んできました。今回もまた、現地の人々の平和と経営再建よりも、大国の思惑が優先される可能性があるということです。
交渉がどう転ぶかは、今後の中東情勢を左右する重要な分岐点になるでしょう。
関連データ
今後の予測
今後の展開は大きく3つのシナリオが考えられます。
【シナリオ①:妥協案による部分解除】米国がイランに一定額の資金返還を認める代わり、残額は周辺国支援に充てる形での合意。この場合、イランは完全とは言えない勝利、米国も国内政治的に説明しやすくなります。中東の経済復興は段階的に進み、地域の緊張は緩和される可能性があります。
【シナリオ②:全額返還による早期妥結】交渉の遅延がさらなる紛争を生みかねないと判断し、米国がイランへの全額返還を受け入れる。この場合、イランは国家的な大勝利となり、核開発問題との関連で米国内の批判が高まるリスクがあります。
【シナリオ③:交渉決裂と現状維持】互いの譲歩が難しく、交渉が進まない。凍結資産は引き続き凍結されたまま、中東地域の経済復興は遅れ、対立の火種が残ります。
どのシナリオになるかは、米国の国内政治情勢とイランの圧力次第です。一国の経済回復が中東全体に波及する影響を考えると、この交渉の行方は日本を含む世界経済にも無視できない影響を与える可能性があります。
ニュースタイムライン
2026年6月5日
トランプ氏がイラン対応は「大成功」 イラン軍事顧問は交渉打開に「米は凍結資産解除を」産経新聞
2026年6月16日
UAE、イランの凍結資産30億ドル解除か 米高官、裏取引否定毎日新聞
参考引用
“イランの凍結資産240億ドル(約3兆8000億円)に関する対応が焦点
― 毎日新聞
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