
『バックルームズ』がA24史上最高興収映画に、ティモシー・シャラメの『マーティ・シュプリーム』を抜く
出典: Deadline (原典を開く)
ニュース概要
1年未満の間にA24は自社記録を2度更新した。カネ・パーソンズのバイラル発祥作『バックルームズ』は、今週末までにはニューヨークのA24にとって史上最高興収映画となり、これまでティモシー・シャラメ主演『マーティ・シュプリーム』がもたらした1億9,120万ドルの世界興収記録を上回る見通しだ。
解説
インディペンデント映画の製作・配給で知られるA24が、立て続けに興行記録を更新している。ウェブ発祥の怖い話『バックルームズ』が、わずか1年以内にティモシー・シャラメ主演『マーティ・シュプリーム』の記録を抜き去ろうとしているのだ。
この現象は、映画業界全体の「力関係の変化」を示唆している。かつてハリウッドの大手スタジオが独占していた大ヒット映画の座に、独立系配給会社がのしあがってきたということだ。A24は元々、アート系やインディペンデント作品を扱う会社として知られていた。それが今、年間数十億ドル規模の興収を生み出す映画を次々と生みだしている。
『バックルームズ』の成功には、ネット文化との親和性が大きく関わっている。もともとインターネット上の都市伝説や怖い話のジャンルから生まれた作品で、若い世代がSNSで自然発生的に拡散させた。つまり、多額の映画化予算をかけずに、オーディエンスの間で有機的な話題が生まれたのだ。このアプローチは従来の大手スタジオの映画化戦略と異なり、より効率的で、かつ現代の消費者心理に合致している。
業界の観点からすると、この動きには二つの意味がある。一つ目は、視聴者が求める「本物感」や「リアリティ」が、大規模な製作費よりも重要になりつつあることだ。二つ目は、配給ネットワークと資金力があれば、規模の小さい製作でも世界規模の興行成功を見込めるようになったという点だ。
ただし注意すべき点もある。A24の連続ヒットは、会社の経営戦略の成功というより、運と環境の要素が大きい可能性がある。全てのネット発祥の話題が映画化に適しているわけではなく、今後も同じペースでヒット作を生み出せるという保証はない。それでも、『バックルームズ』と『マーティ・シュプリーム』の記録更新の連続は、映画業界に新しい波が来ていることを確実に示しているのだ。
関連データ
今後の予測
今後のA24の動向は複数のシナリオが考えられる。
【楽観シナリオ】ネット文化とのシナジーが強まり、SNS発祥の作品化が新しい映画製作の定番になる。A24がそのパイオニアとして地位を確立し、同様の戦略を取る他社も増加。結果として、映画業界全体で製作費対効果の効率が上がり、より多様な作品が世界規模で配給されるようになる。
【慎重シナリオ】A24の連続ヒットは一過性のトレンドであり、今後はヒット作と赤字作品の振幅が大きくなる。ネット発祥の全ての作品が映画化に適しているわけではなく、選別が厳しくなる。同時に、大手スタジオもこの戦略に追従し始め、競争が激化する。
【現実的シナリオ】A24は今後も中程度のヒット作を着実に生み出しつつ、たまに大型ヒットが出るという状況に落ち着く。ネット文化との相性は強みとして活きるが、万能な戦略ではないことが認識される。映画業界全体では、規模を問わず作品の質と適切なターゲット設定が重要という基本に立ち返る。
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